4

今日食事会を済ませれば、これ以上宮川さんと顔を合わせなくて済む。
もう、こんな思いもしなくていいし、後は忘れるだけ……。
時間がきっと、解決してくれる。

ホテルの前に再度迎えにきた車へと乗り込んだ。
美咲と須藤さんとそのご両親達は、別のリムジンに乗っていくそうで、車の中には康祐くんと、須藤さんの弟の由樹くんしかいなかった。

宮川さんがまだ来ていないことに、少しだけほっとする。

だって、少しの時間でも顔を合わせているのがキツイから……。


リムジンではないと言っても、十分に高級な大きな車だ。
後部座席は、テーブルを中心にぐるりと囲ったようにシートがある。
久実に続いて高級そうな黒革のシートに腰を下ろすと、運転手によってドアが閉められた。
そして、すぐに車は走り出した。
宮川さんを乗せていないのに。

思わず、身を乗り出した。
窓の向こう側に彼の姿は見えない。
ホテルも徐々に離れていく。


――どうして?


「ねぇ、宮川さんが乗ってないけど、いいの?」


あたしの質問に、康祐くんは不思議そうな表情を見せながら言った。


「あれ? 愛里ちゃん聞いてなかった?」

「え?」

「アイツ、仕事が忙しいから休みが取れなくて、今日先に帰ったんだよ。
どうしても式だけは、出席したいって来たから。
挨拶、なかった?」


帰った?
そんなの、聞いてない……。


「あれ? あたしには裕くんから挨拶あったけどな。
慌ただしくて愛里には忘れちゃったのかな?」


久実の言葉に、ずきりと胸が痛んだ。


久実には、きちんと挨拶があったの……?


「裕って、ああ見えて結構律義なやつなんだけどなぁ。
どうしても言う時間なかったのかも。
ごめんね、愛里ちゃん、失礼なヤツで」

「……いえ」


そう答えたけれど、ショックは大きかった。
先に帰ることさえ言わずに行っちゃうなんて。

もう、じゅうぶん分かっていたはずなのに。
宮川さんにとっては、あたしは一晩過ごせれば良くて、それが済んだらもう会いたくない女なんだって。
深く入り込まれたくない女なんだって。

だけど、海で助けてくれたり、冷却シートを持ってきてくれたり……。
さっき、あんな風にキスしてきたり……。

何を考えてるんだか、分からないよ。
あたしのこの気持ちだって、どう処理していいのか分からないよ。

でも、もう……。
顔を合わさなくて済んで、ちょうど良かったじゃない。
これ以上、気持ちを乱されることなんてなくて。


小さく息を吐き、柔らかなシートに身体を深く沈めた。

窓の外へと視線を移すと、薄くなった水色とオレンジが混ざり合う、夕闇の色を見せ始めた美しい空が見えた。
綺麗だな、と、こんなときなのに思う。

黙ったまま外を見ていると、まるでフォローするように由樹くんが言った。


「でも、本当に兄貴達は幸せ者だよ。
こんな風に、海外までわざわざ友達が来てくれてさ。
裕さんなんて、一泊二日で来てくれるなんて。そんなの、なかなか出来ないよ」


……そうかも。
友達には、優しいのかもね……。


そうだよね、と同意する久実をよそに、あたしは何も答えなかった。


「愛里さんと久実さんは、ワインとかイケるクチですか?
兄貴達、スゲー良いワイン用意して貰った、って言ってたから。
楽しみにしてて下さいね」

「えっ! ホント?
好き好き! 楽しみっ!」


久実はあたしの横で、由樹くんに手を合わせて興奮気味に答える。


お酒、好きなんだよね、久実は。
あたしは、そんなに好きなほうじゃないんだけど。


窓から由樹くんに視線を移し、あたしはせっかく言ってくれた礼儀として、笑顔で答えた。


「楽しみにしてるね」


由樹くんは「良かった」とにっこり笑うと、今度は康祐くんに聞く。


「確か、康祐さんはアルコール駄目なんですよね?」

「え?
ああ、俺じゃないよ。それ、裕な」


――えっ?


康祐くんの言葉に、思わず勢いよく顔を向けた。


「アイツ、駄目、つーか、めっちゃ弱い。
飲むと次の日なんて、二日酔いと胃痛が酷いんだよ。
だから余程じゃないと飲まないな」


嘘……。
だって、あの日…飲んでたよね? 一緒に……。
ダウンライトの下でカクテルを飲む姿が、大人だなって、格好良いな、って思って――。


「あー、だからなの?」と、久実も言った。

「だから昨日も全然飲まなかったんだ?
聞いたら、明日は式があるし、なんて言ってたけど、胃痛まであるの?」

「そうそう。酷いと動けなくなるらしくて。
つーか。それでこの間女に逃げられたんだよなぁ、アイツ」


逃げられた?
それって……何?

あんな風に女の子にいい加減なことするからそんな目に遭うのよ、きっと。


「ええ? 何、何?
逃げられたってどういうこと?」


久実は興味津々といった感じで、身体を乗り出す。
あたしは反対に、シートに寄りかかったままそっぽを向いた。
黒革のシートは、ノースリーブのワンピースを着るあたしの肌の熱を奪い取るように冷たい。


「あー、やべ、失言。
これ、言ったら裕に怒られるかも……。
かなりショック受けてたし。
結構アイツ、あんな風体でナイーブだったりするんだよなぁ」


ナイーブ?
ショック?

もしかして酷い目にあったから、それが原因であたしを捌け口にしたとか?
女に仕返しみたいな感じで?

もしそうだったら、あたしって何なんだろうな……。


胃の辺りがムカムカぐるぐるしてる。

康祐くんの顔も見られなくて、窓の外に視線を向けたままでいた。

だけど、本当は――あたしも気になるのは確かで。
流れる景色はただ瞳に映るだけで、何の印象も与えてくれなくなってしまった。


「ええー、いいじゃん! 内緒で教えて!
だってさぁ、裕くんってイイ男じゃない?
だからそういうのって、凄く興味あるんだけど!」

「オレも聞きたい!
裕さんのそういう話って、聞いたことないんだよね。
いっつも、クールっていうか」


久実と由樹くんは「お願い!」と、康祐くんに、子供が紙芝居でも見る前のような好奇心と期待を含んだ面持ちで迫っている。
それは、半ば問い詰めているようにも感じる。


「うーん……」と、少し悩んだ後、雰囲気に押されたのか、康祐くんは仕方ないな、と言う感じで話し出す。


「んー、何かさ、お客さんで好きになっちゃった子がいて……」

「お客さん?」


あたしの代わりに、と言っていいほど、頭に浮かんだ短い言葉をそのまま久実が口にした。


だって。
お客さんって、あたしだってお客さんだったし……。


その扱いの差に、またショックで胸がずきりと痛む。


「まぁ、立場上なかなかそういうのって誘えないじゃん?
だけど何かその子にプレゼント貰ったとかで、お礼にってようやく誘えて……」


プレゼント?
お礼?

……それって、あたしと同じパターン?


「そうしたら、緊張のあまり飲み過ぎたらしくて。
で、まぁ、お互いに大人だしさ、ホテル行ったワケだけど。
朝、やっぱり胃痛で苦しくなってトイレにいたら、その子その間に帰っちゃったんだって。
何も言わずに」


……あれ?
ちょっと…待って?
何かそれって……。


嫌な予感がして、思わずシートから身体を起こした。
だけど、あたしの口から言葉が出るより先に、久実が腑に落ちない様子で言った。


「でもさ、それってわざとなの?
その女の子、裕くんがトイレで苦しんでるのに気付かなかった、とかじゃなくて?」

「いや、だってさ。靴も服も置いてあるんだよ?
どう考えたって気付くっしょ?
それで気付かないなんてオカシイじゃん?
だからさぁ、むこうはただの遊びだったんだ、って、裕はめちゃめちゃショック受けてるんだよ」


えっ!?
ちょ……っ、それって……
もしかしてあたしのこと!?

服? 靴?
そんなのあった!?

ああっ、もうっ! 覚えてないっ!
確かに、ベッドにも部屋にもいないってことに動揺して、頭の中は真っ白になっちゃって――……どうにもそこにいられなくて、そのまますぐに帰っちゃったけど――。

それがもし本当なら……。
あたしって、何てことしちゃったの!?


「酷い女だね」と、隣で反応する久実と由樹くんの声が頭の奥の方で響いて。

頭の中は急激に渦巻くように動き出す。

胸も心臓も、ぎゅうっと押し潰されて苦しくなる。


あたしが勘違いしてた、なんて――信じられない!

だからあんな態度を取ったの?


あたしは車の中で立ち上がって、康祐くんの腕を掴んだ。


「康祐くん! 宮川さんのフライト何時の便!?」

「えっ? どうしたの?」

「……っ! それっ、その女ってあたしなのっ!
あたしが勘違いして帰っちゃったの!
起きたらいなくなってたから、遊びだったんだって思って!」

「はあっ!?」


三人が驚愕して声を揃えた。
急なあたしの話に「わけが分からない」といった顔つきだ。

驚くのは当たり前だ。
って、いうか。あたしが一番、その事実に驚いているんだから。

こんな勘違いで、すれ違っていたなんて。
しかも変なプライドで、意地を張ったばかりに余計にこじれたなんて。
あまりにも酷い自分の馬鹿さ加減に呆れかえる。


「最終便で、確か16時……うーん、50分だったと思う。
つーか。どうなってんの!?」

「16時50分……」


腕時計を確認する。
――16時18分……

かなりギリギリだ。
フライトには間に合っても、搭乗していたら会うことは出来ない。


――だけど……


「止めて下さい! 
降りますっ!」


運転席へと身を乗り出した。
現地のチャモロ人らしき彼に、日本語なんて通じるのかは分からない。
だけど、あたしだって英語なんて分かんないし。
今そんなことよりも、言葉が分からなくても意味が通じて車を止めてくれさえすればそれでいい。


「馬鹿ねっ! 愛里、何で今迄言わなかったの!?
あのクリームを探してたのは、裕くんのためだったの!?
さっき裕くんが持ってたのは、愛里があげた物だったのね?」


久実は、あたしの腕を掴んで言った。
怒ったような、それでいて真剣に心配するような顔。


「ご、ごめん……」

「何だかよく分かんないけど、とにかく、愛里ちゃんと裕は、お互いに勘違いしてたってわけ?」


康祐くんが少し呆れたようにそう言うと、今迄黙っていた由樹くんが、急に立ち上がる。


「運転手さん、空港に向かって!
Please go to the airport!」


前に向かって大きな声を出した。
車が急停車して、立っていたあたしはシートに倒れた。


「Hurry up!」


運転席に後部座席から身を乗り出した由樹くんが、更に怒鳴った。
あたしは慌てて由樹くんを引っ張る。


「待って! だって、そうしたら皆が食事会に遅れちゃう!」


けれど由樹くんは、こちらに振り返ると微笑んだ。


「しょーがないでしょ? この場合、緊急事態。兄貴達も許してくれるよ。
ただでさえ幸せなんだから、さ」


その言葉に、久実と康祐くんは「うん、うん」と頷く。


――本当に……何て言っていいのか……。


「ごめんなさい……。
ありがとう……」


あたしは頭を下げた。
目頭が熱くなって、涙で滲む。
ぎゅっと掌に力を入れて、堪えようと唇も結んだ。


いくら謝っても、お礼を言っても足りないくらいだ……。


「エアポート、ネ?」と、運転手さんは、黒い肌に白い歯を覗かせて、バックミラー越しに、にやりと笑った。

すると、車は急激にUターンをして進行方向を変え、一路、空港へ向かい出す。


間に合わないかもしれない。
日本に戻って連絡を取れば済むことかもしれない。

それでも、今、逢いたくて。
今、きちんと誤解を解きたくて。


タモン郊外から、グアム空港までは約10分。

そんな短い時間さえもどかしく感じて、逸る気持ちが大きく心臓を動かして、身体中にその音が響く。

スピードを上げる車と共に、皆は身を乗り出すように身体を起こして、無言でフロントガラスを食い入るように見つめていた。




空港のターミナルの入り口に車が横付けされると、久実達が何か言ってくれているのも耳に入らないまま、ドアを開けて走り出した。

もう、搭乗は始まっているはず。

だけど、いないかもしれないよりも、会えるかもしれないの、希望の方が強かった。
とにかくあたりを見渡しながら走った。

国際空港といえど、広くはないグアム空港。
日本人の観光客ばかりが溢れている。
この人混みの中から、彼一人を見つけるのは難しいのも分かってる。
それでも、息を切らせながら走りまわる。


――いない……。

もう、搭乗しちゃった……?


そう思うと、忙しなく動かしていた足が、徐々にゆっくりになる。


会えない……?


足が止まってしまった。

日本語が飛び交う、耳障りなざわめき。
到着したばかりの人で溢れ返るターミナル内は、皆これからの旅の期待に満ちた笑顔を浮かべている。

それがここには宮川さんがいないことを示しているように思えて、実態のない何か大きく力のあるものがぎゅっと胸を痛めつけてくる。


「何、やってんの、お前……」


――えっ?


その低い声が耳に入ったかと思うと、急に後ろからぐっと腕を引かれた。

勢いよく引かれた腕の先は、紛れもなく宮川さんで――……

あたしは一瞬、息が止まったかと思うくらい驚いた。


「う、そ……、本物……?」


驚いて見上げるあたしに、宮川さんは眉を顰めて見せる。


「本物に決まってるだろ?
つーか、何でココにいるんだよ? 食事会は?」

「宮川さんこそ……まだ搭乗してなかったの……?」

「……忘れ物したから一度ホテルに戻ったんだよ。
だから遅くなっただけ。もう、行かないと間に合わない」

「忘れ物?」

「………。
いいだろ、何でも。
で、何なんだよ? 一体……」


睨むようにあたしを見下ろして言う。
そんな態度に、嫌でもまた胸が締めつけられた。


拒否しないでよ……。
きちんと話をしたいのに……。


きゅっと、唇を噛み締める。
結ばれて開かない唇の端にも力を入れた。


……それなのに。

熱を持った瞼は、あたしの限界を超えて、勝手に涙が溢れ出てきた。

はっとしたように、宮川さんは大きく目を見開く。

開かれた大きな瞳は、心配そうに一度細められて、大きな手があたしへと伸びてきた。

そしてゆっくりと、涙の温かさとあの指の感触が一緒に頬を掠めていった。


「泣くなよ。ちゃんと、言えよ。聞くから」


その言葉と一緒に向けられた眼差し。
真剣でまっすぐにあたしを捉えるそれは、やっぱり大好きな瞳。


きちんと伝えたい。
あの日言えなかった言葉。
ずっと閉じ込めてしまった本当の気持ちと、真実。


そんなまっすぐな瞳に、あたしは答えるように言った。


「あたし、宮川さんが好き」

「えっ……?」

「あの日、起きたらいなかったから、あたしのことなんて遊びで帰っちゃったのかと思って。
それで動揺して……トイレで苦しんでるなんて全然知らなくて、急いで帰っちゃったの。
本当にごめんなさい……」


見上げる瞳は、驚いてるようで、瞬き一つしない。
一瞬の沈黙。


「何? それ?」

「今さっき康祐くんから聞いたの。宮川さんの本当のこと。
あの時、気が付かないで帰っちゃったの。あたしが勘違いしてたの。
置いていかれたってショックだったの、好きだったから」


ようやくパチパチと宮川さんの瞼が動いたかと思うと、大きな溜め息が吐き出された。


「マジかよ。信じらんねー……。
だって、クロークの中に服も靴もあっただろ。
お前、帰る時、気付かなかったわけ?」


クロークの中……?


「ああっ!
あたしの靴が手前にあったから奥までよく見なかったんだ。
それで気付かなかったのかも!」


宮川さんは、はぁ、と、また大きな溜め息を洩らし、頭まで項垂れた。


「もう、いい……」

「え?」


低く小さく呆れたように言った言葉に、あたしが顔を上げて小さく聞き返すと、急に引き寄せられた。


「好きだ」


そう言って、ぎゅうっと腕の中に閉じ込められる。
大きくて力強くて温かい――彼の胸。


「俺も、ゴメン。
格好悪くて、酒に弱いとか言わなかったから。
不安にさせて悪かった。
きちんと好きだって、あの時伝えておくべきだった」


本当に……?
好きでいてくれたの……?


きゅっと締め付けられた胸の小さな痛みと一緒に、あたしも背中に手を回して、その掌に力を込めた。


「あたしも……ちゃんと好きだって言えなくて……」


そう言った言葉尻は、涙で少し掠れて。

そして、その掠れた言葉を閉じ込めるように、唇が塞がれた。


柔らかくて、温かい唇の感触と共に、宮川さんの強い気持ちもそこから感じられるくらい身体中に流れ込んできた。

人の目なんて気にならないくらい、あたしもそれに応える。

合わせた唇と一緒に、心まで合わされて絡みあったみたいに。


日本ではない、南国の開放的な雰囲気の中では、これくらい許されるだろうと、頭の片隅で思った。


唇が離れて、お互いに見つめ合って捉えた視線は、熱を持っているのを感じられる。

そしてそれは、この国で再会したときは違う、優しい瞳。


だけど「あーあ」と、すぐにその優しい顔は、参ったなとでも言いたげに、眉が顰められる。


「えっ?」

「飛行機。乗り遅れたなー、完璧に」

「ああっ!」


さあっと急激に血の気が引いた。

完璧にあたしのせいだ!
どうしよう!


「ごっ、ごめんなさいっ!」


勢いよく頭を下げた。

だけどすぐにあの大きな手が、下を向くあたしの頭の上で軽く跳ねた。

それにつられたように、あたしは顔を上げる。
見上げた顔は、柔らかく、優しく微笑んでいた。


「つーか、お前のせいじゃないし。
帰れないモンはしょーがない。
早めに諦めちゃったほうが楽。
あと一日、楽しむことだけ考えようぜ?」


宮川さんはそう言って、子供みたいにくしゃくしゃに笑った。


「う、ん」

「それに、ほら」


そう言いながら、宮川さんはポケットをごそごそと探り出す。


何? と、思うと、あたしの目の前にそのポケットの中身が差し出される。


――あたしがプレゼントしたハンドクリーム。


「忘れ物。
感謝しなきゃな」


宮川さんは微笑む。


忘れ物した、って、これだったの?
高価なものでもないのに。
飛行機に乗り遅れるかもしれないのに。
それなのに、わざわざ?


きゅうっと、また胸が痛む。

だけどそれは辛い痛みではない、ずっとずっとずっと、甘い痛み――……。


「……うんっ」


あたしも笑顔でそう答えると、きゅっと、固く指を絡めて手を握り合った。

荒れて少しカサついた指の感触がする。


だけど、ねぇ。
今日は、その手の感触を、身体中で味わわせてね。

大好きな、この魔法の手。


――もう、離さないよ。






END











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 update : 2008.01.31