ふたつめの朝

唇に、何か触れた。

その感触で、夢から現実へと引き戻される。

明け始めた朝の光を瞼に感じて、ゆっくりとそれを開くと、柔らかな瞳の宮川さんがあたしを覗き込んでいた。

「起きた?」

「……」

そう訊いてきた彼。
でもあたしは黙ってわざとまた瞼を閉じた。

………

ほら、ね?

また、唇に柔らかな感触。
愛しむように、そっと。

ちゃんと。
はっきりした頭でその温かさを感じたいの。
だからもう一度。
最初から起こして。ね。



END

update : 2008.02.21